AIを活用したカード鑑定とは? AGS鑑定(Robograding)などを比較

AIカード鑑定のケース 鑑定HOW TO

私はこれまでいくつかのカード鑑定サービスを利用しましたが、最近気になっているサービスのひとつがアメリカのAGS鑑定(Automated Grading Systems)です。AGSはAI技術を活用したRobograding(ロボグレーディング)と呼ばれるサービスを提供しています。

ほかにも、日本発の鑑定サービスとして登場したARS鑑定が大変人気を集めています。ケースのデザインが好評で、日本ならではのこだわりを感じます。このようなユニークなカード鑑定サービスが増えたことでコレクターにとっては選択肢が広がり、個人的にはすごくワクワクしています。

今回の記事ではAGS鑑定に取り入れられている「AI技術」に着目し、ほかの鑑定サービスと比較をしてみました。

なぜAI技術が気になるのか

そもそもなぜカード鑑定でAI技術かというところについて少し補足します。カード鑑定サービスでは、カードの保存状態や印刷の具合などを評価してカードに点数をつけるグレーディングと呼ばれるサービスが提供されています。

このグレーディングは多くの場合、結果に対する明確な根拠は開示されません。いわゆる「総合的評価」となっているのです。そして、カードを評価するのがグレーダー(鑑定士)と呼ばれる専門家です。

ただ、カード鑑定サービスを利用したことがある方は経験があるかもしれませんが、評価結果に納得できるかというと、必ずしもそうではないこともあります。

「完璧だと思っていたのに、なんで点数が低いんだろう?」「イマイチだと思っていたけど、意外と点数が良かった」

そうした声は割とよく聞きます。もちろん、評価をしているのはプロなので、私たちが見逃しているようなポイントもしっかりと押さえているのかもしれません。

ただ一方で、グレーダーも人間です。同じ鑑定士でもその日の体調や気分で評価がブレることがあるかもしれませんし、見る人が変われば評価基準も多少なり変わるかもしれません。

そうしたブレを減らすことができるのではないか、というのがAI技術に対するひとつの期待です。

そしてもうひとつは、鑑定サービスに限らずAI技術導入における一般的な話ではありますが、やはり「コスト」です。人間が鑑定に携わっていて、それが専門家であるならばなおさら、そこには相応の人件費がかかっているはずです。

多くのカードを鑑定に出せば、それなりの料金となってしまいます。コストを少しでも抑えて安価で利用ができるなら、コレクターにとって嬉しい話ですよね。

鑑定サービスにおけるAI活用

カード鑑定サービスのケースイメージ

それでは、現在提供されている主要な鑑定サービスでは、どの程度AI技術が活用されているのでしょうか。AGS公式サイトで解説されている内容を参考にしながら、以下に記していきます。

※2023年5月時点の情報に基づく
※AGS公式サイトによる解説を参考にしつつ、ARSは当方で追記

【PSA】
世界最大級の鑑定サービス。カード鑑定の老舗として評価されています。カードの鑑定にかかる費用は最低30ドル、納期は120日から。基本的には人間がすべてのカードを鑑定しているものの、ごく小規模ながら、鑑定業務でAIを活用し始めているようです。

【BGS】
世界第2位のカード鑑定会社。カードの鑑定料は最も高い部類で、最も安いサービスでも35~50ドルで、納期は9~12ヶ月ほどかかることが多い。AIを使わず、人間がカードを採点しているようです。

【CGC】
市場最安値の鑑定サービス。最安値のサービスで15~35ドルほど。納期は5~7ヶ月です。AIを使わず、人間がカードを採点しているようです。

【AGS】
新たに登場したカード鑑定サービス。ソフトウエアでカードを採点し、人の手を煩わせることはほとんどないそうです。市場最速のカード採点プロセスを構築しており、鑑定所要期間はおよそ20営業日で10ドル~14ドルほど。レポートによって、鑑定結果の根拠を詳細に知ることができます。

【ARS】
日本発のカード鑑定サービス。2022年にスタート。トレーディングカードをアートと位置づけ、ケースの美しさには定評あり。AI活用レベルは不明だが、公式HPなどでは導入を匂わせるようなアナウンスはありません。グレーディングは3,300円からで、鑑定所要期間は提出のタイミングによってばらつきがあり、最短数日~1カ月ほど(随時受付方式の見直しなどを行っており、納品期間は変動が多いです)。

https://ars-grading.com/

これらはAGSによる解説のため、ある程度は彼らのサービスが魅力的に見えるように比較されている部分もあるかもしれません。ただ、価格の安さと速さ、AIによる評価のブレのなさについては、自身も実際にサービスを利用してみて、体感しているところです。

どのサービスが良い・悪いというよりは、個人的には使い分けるというスタンスが良いのかなと感じています。市場への流通(売買)を目的とするなら鑑定会社としてのブランド力も強いPSAやBGS、国内で完結するほうが安心だという方はARSといった具合です。

ケースのデザインで選ぶのもありだと思います(デザインは好みですが・・・私個人的にはディスプレイするならARSが好きです)。評価の理由を詳しく知りたい、たくさんカードを出すので安価に済ませたい、といった方はAIを活用したAGSのような鑑定サービスが適しているかもしれません。

ご自身のニーズに合った鑑定サービスを選んで、カード収集をより楽しんでみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました